管理職経験で得られる2つの成長|スキルアップと人の器を広げる力

マネジメントの心構え・マインド

「管理職になってみたものの、自分に何かスキルがついているのかわからない…」
毎日忙しく頑張っている中で、ふとそんな不安を感じることはありませんか?

管理職という役割は、部下や上司、組織の板挟みになることも多く、「自分は成長できているのかな?」と疑問に思う瞬間が少なくありません。

しかし実は、管理職として日々向き合っている仕事の中には、気づかないうちに確実に積み重なっているスキルがたくさんあります。
プレーヤー時代には得られなかった視点や経験は、すでにあなたの大きな強みになっているのです。
そしてその強みに気づき、意識的に伸ばそうとするだけで、成長スピードは格段に上がります。

この記事では、管理職経験で得られる成長を 「スキルアップ(水平的成長)」「人の器の成長(垂直的成長)」 の2つの側面から整理してご紹介します💡
まずは大枠を知ることで、自分の成長を再確認し、自信を持つきっかけにしていただければ幸いです。

管理職で得られる成長は2つの軸から考えられる

管理職としての成長を考えるときに参考になるのが、成人発達理論で語られる「水平的成長」と「垂直的成長」という2つの軸です。

  • 水平的成長:知識の量を増やしたり、スキルの質を高めたりすること。
     例:マネジメントスキルを磨く、専門知識を広げる、コミュニケーションの技術を学ぶ。
  • 垂直的成長:人としての器を広げ、物事の捉え方や解釈の仕方を柔軟に変えていくこと。
     例:多様な視点を受け入れられるようになる、部下や上司の立場を理解して考えられるようになる。

水平的成長はイメージしやすい一方、垂直的成長は少し抽象的に感じられるかもしれません。
わかりやすく言えば、垂直的成長が浅い段階では「自分の考えだけが正しい」と思い込みがちです。
そこから徐々に、他の人の価値観や視点も受け入れられるようになっていくのが、垂直的成長のプロセスです。

日常業務ではどうしても水平的成長に意識が向きがちですが、管理職という役割はこの「垂直的成長」を促す貴重な機会でもあります。
だからこそ、日々の経験を「ただこなすだけ」にせず、成長のチャンスとして捉えることが大切です。

① スキルアップ(水平的成長)

論理的思考力

物事を感情ではなく根拠や因果関係で整理し、筋道立てて考える力のこと。
管理職は部下に説明するにも、上司に報告するにも「なぜそう判断したのか」を示す必要があるため、この力が自然と鍛えられます。身についた論理的思考力は、会議や資料作成の説得力を高めるだけでなく、転職活動やプライベートの意思決定にも役立ちます!

アサーションスキル

相手を尊重しながら自分の意見も率直に伝えるコミュニケーション力のこと。
管理職は、部下に厳しいことを伝えたり、上司に現場の実情を正直に伝えたりと「言いにくいことをどう伝えるか」が日常的に求められます。その経験を通じて、アサーションスキルが磨かれていきます。
これは職場の信頼関係づくりはもちろん、家庭や友人関係でも大いに活かせます。

問題解決力

起きた課題やトラブルの原因を突き止め、効果的な解決策を導き出す力のこと。
管理職は顧客対応や業務上のトラブルに直面するたび、責任者として解決にあたる必要があります。
その繰り返しが、課題を分析して整理し、再発を防ぐ力を育ててくれます。問題解決力は、新しいプロジェクトを進めるときや日常生活でのトラブル対応など、あらゆる場面で役立ちます。

業務設計力

目標に向けて仕事の流れや役割分担を設計し、効率的に回る仕組みをつくる力のこと。
管理職は、チームの状況やメンバーの力量を見極め、「誰にどの業務を任せるか」「どの順番で進めるか」を判断する立場にあります。属人的なやり方を排除し、仕組みに変える経験が、このスキルを強く伸ばします。業務設計力は、組織改善やプロジェクトマネジメントで力を発揮し、プライベートでも家事やイベントの段取りに活かせます。

育成力

人の成長を支援する力のこと。
部下に仕事を任せ、フィードバックし、時に失敗をフォローする。その積み重ねが「人を育てる力」を磨きます。管理職にとって育成は避けられない役割であり、試行錯誤を繰り返す中で力が育っていきます。このスキルは後進の育成やチーム作りだけでなく、人をサポートする場面全般で役立ちます。

② 人の器的な成長(垂直的成長)

管理職の経験は、スキルアップだけでなく、人としての器を広げる「垂直的成長」にもつながります。

大人の知性には、段階的に発達していくプロセスがあると言われています。
初期の段階では、モノゴトを自分中心にしか捉えられず、どうしても利己的になりがちです。
しかし成長の段階が進むにつれて、他人の価値観を理解し、自分と他人の考えを比較できるようになり、やがて多様な価値観を受容して「自分の価値観そのものを深める」ことができるようになります。

例えば、入社したての頃は“自分の仕事ができればいい”と思いがちですが、管理職になると“部下がどう感じているか”“上司は何を求めているか”まで考える必要があります。こうした視点の広がりが、垂直的成長の一部です。

管理職という役割は、部下の育成や組織全体の調整を行う立場であるため、この発達段階を高めることが非常に重要です。板挟みや葛藤を経験する中で、人間としての器が大きく広がっていくのです。

この「垂直的成長」の具体的なプロセスや事例については、別の記事で詳しく紹介します。

まとめ

管理職という役割は、日々の成果が数字として見えにくく、不安を抱きやすいポジションです。
しかしその中で、あなたはすでに 「スキルアップ(水平的成長)」「人の器的な成長(垂直的成長)」 の両方を手にしています。

自分の中で積み重なっている力に気づき、「私はちゃんと成長している」と安心できたら、次はどの力をさらに伸ばしたいかを考えてみてください。
その意識こそが、これからのキャリアをより豊かにしていく第一歩になるはずです。

あなたの成長は、必ず誰かの力になっています!

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